医学部予備校を探している時、やはり気になるのは「合格実績」ですよね。
しかし、この「合格実績」は予備校によって表記の仕方が様々です。
どこの予備校も高い合格者数や合格率を記載してあって、「これってホントなの?」と疑ってしまうのではないでしょうか。
医学部受験においては「合格」の方法が多少複雑ではありますので、その説明を含め、医学部予備校の合格実績や合格率の注意点をいくつかご紹介します。予備校選びの際の参考にしてください。
「合格率」と「合格者数」の定義
通常の受験では1次試験で「学科試験」、2次試験で「小論文」「面接」を実施しています。
1次試験を突破した人のみが2次試験へと進み、2次試験を合格して初めてその大学への入学資格を得ます。
しかし、一部の医学部予備校では、1次試験を突破した人の数を「合格」として記載している場合もあるのです。
当然、皆さんは合格率や合格者数とは入学資格を得た人の数であると認識していますので、「合格率や合格者数が高い!良い予備校だ!」と判断してしまうという一つの落とし穴です。
ただ、医学部受験において多くは、1次試験(学科試験)の点数によって2次試験の合格順位もある程度決まっています。
小論文・面接の結果、多少順位の上下はありますが、余程のことが無い限りは学科試験での圧倒的な得点が合否を決めているということです。
そのため、1次試験合格を合格実績とする予備校もあるということです。
「正規合格」「補欠合格」「繰り上がり合格」とは
私立医学部の受験では、2種類の合格があります。
「正規合格」
正規合格とは1次試験・2次試験ともに良い成績を収めて、大学が入学する資格を認めたということです。
正規合格者は、合格発表時にその大学への入学資格を得たということになります。
「補欠合格」
「繰り上がり合格」とも言われ、上記の正規合格者から入学辞退が出た際に合格となる人です。
医学部受験では多くの場合、他の大学との併願を認めており、各大学は入学辞退をする合格者が出るため、毎年必ず補欠合格が出ます。
この「補欠合格」は「正規合格」とは違い、合格発表のあと正規合格者の中から辞退者が出る毎に順次合格となります。
補欠合格の発表も以下のように大学ごとにパターンがあります。
上記のように補欠対象となっても合格となるか不合格となるかは大きく分かれます。
中には4月に入って入学式の前日に補欠合格の連絡が来たといった場合もあるようです。
補欠対象も「合格実績」!?
医学部予備校の中には、この補欠対象者も合格実績としてカウントしている場合もあります。
しかし、前述したように補欠対象者となっても最終的には「入学資格を得られなかった」すなわち「不合格」となり、医学部の中には繰り上がりはほとんど出ない大学も存在します。
複数合格した生徒のカウント(延べ人数)
医学部受験において併願を認めていると前述しましたが、そのため1人で複数の合格を勝ち取る受験生もいます。いわゆる延べ人数というカウント方法です。
私立医学部を目指す受験生の多くは複数の大学を併願して受験するため、1人で複数の合格を取ることも珍しくありません。
例えば、私立医学部の中でも上位校である「東京慈恵会医科大学」や「慶應義塾大学医学部」の合格を果たした受験生は、おそらく併願した私立医学部のほとんどの合格を勝ち取っていることでしょう。
その場合、合格者数を合格した大学の数だけ”1名”としてカウントしています。
実際には、1人の受験生が複数の合格を勝ち取っている延べ人数記載、だということに注意してください。
しかしながら、進学者数や延べ人数では無い表記をしている予備校もありますので、全てではありませんがカウントの仕方は予備校ごとに異なります。
医学部予備校の合格率や合格実績はあくまで目安として
このように合格率の計算の仕方や合格者数のカウントの方法は、各予備校ごとに異なります。
複数の校舎がある場合は全校舎の合計であったり、グループ関連校の実績をすべて総合したものであったりと様々です。
短期間の講習会に参加しただけの生徒や、相談会に参加しただけの生徒の合格実績を加算する悪質な予備校も存在するのも事実です。
そのため、合格実績だけを見て鵜呑みにするのでは無く、あくまで参考程度の目安として考えるのが良いでしょう。
合格実績が無いからダメな講師しかいないかといえばそうではありません。合格実績の高い予備校に入ったら必ず合格出来る訳ではありません。実際には、いかに自分に合う予備校を見つけられるか、信じてついていける講師をみつけられるか、が合格の鍵です。
この記事の内容を頭の片隅に置きながら、実際の予備校選びの参考にしてください。